戻らない「見方」のこと
── 言ってしまおうかと思う日と、言えない理由

公開日:2026年10月18日 / 書いた人:FUN TO MOVE オーナー(FTM当事者)

前に「知っている人」と「知らない人」のあいだでという文章を書きました。 今回は、その続きのような話です。答えが出ているわけではないので、考えている途中のまま書いてみます。

昔の世界に、仕事で戻るかどうか

わたしには、20年近く続けている本業の仕事があります。Tシャツは、このサイトを続けるための、趣味の延長のようなものです。

その本業を広げようと考えたとき、ひとつの選択肢として浮かぶのが、昔長く本格的に打ち込んでいたスポーツの分野です。 自分の経験や力を、いちばん活かせそうな場所でもあります。

でも、そこには昔の仲間がいます。女子チームでプレーしていたころのわたしを知っている人たちです。 その分野に入っていけば、「あ、昔のあの人だ」と気づかれることもあるでしょう。 今の時代、冷やかされるようなことはないかもしれません。それでも、つい二の足を踏んでしまうんです。

何も隠していない、全部オープンにしている人なら、こんなことで迷わずに済むのだと思います。 仕事の選択肢を考えるときにまで、この迷いがついてくる。そこが、ちょっとめんどうなところです。

いっそ言ってしまおうか、と思う日

いま一緒に趣味のスポーツをしている仲間は、昔とは別の競技の人たちです。わたしの過去は、ほとんど誰も知りません。 とはいえ、どこかでつながって知られることがない、とも言い切れません。

だったら、もう自分から言ってしまおうか。そう思う日もあります。 でも、年齢の離れた人もいるし、きっと驚かせてしまう。それに何より、扱いが変わってしまうのが嫌なんです。 そのコミュニティでは、わたしはもうずいぶん長く、男性として過ごしてきました。それを急に変えるのは、簡単なことではありません。

「武器にすればいい」と言われても

人によっては「それを糧にしていけばいいじゃない」「むしろそれは武器だよ」と言ってくれます。 そういう捉え方があることは、もちろんわかっています。前向きな言葉として受け取ってもいます。 ただ、自分の気持ちがそこに追いつくかどうかは、また別の話なんですよね。

いちばん嫌なのは、見方が戻らないこと

言うのが怖い、というのとは少し違います。相手がどう反応するかは、なんとなく想像もつきます。

嫌なのは、見方が変わってしまうこと。そして、その見方がもう元には戻らないことです。 わたしを男性だと思っている人に「ああ、女性だったのか」と思わせてしまう。それが、本当に嫌なんです。 相手のためというより、自分自身が、今の関係のままでいたい。だから、軽い気持ちでは言えません。

すっきりさせたい気持ちも、ちらちらと

同じように思っている人もいるだろうし、そんなふうには思わない人もいると思います。どちらが正しいということもなく、人それぞれです。

いつか全部すっきりさせたい、と思うこともあります。でも今は、なかなかそうできずにいる。 それが、いまのわたしの正直なところです。

誰に、どこまで話すかは、自分で決めていい カミングアウトは、する・しない、いつ・誰に、すべて本人が決めていいことです。迷ったまま過ごす時間も、ちゃんと意味のある時間です。 話せる場所がほしいときは相談先の一覧も見てみてください。

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