からだのこと
── 聞きにくい話を、そっと
手術や補整アイテムのこと。人に聞きにくいけれど、知りたい人は多いテーマです。
手術をする・しない、アイテムを使う・使わない、どれを選んでもあなたは「ちゃんとしたFTM」です。 このページは何かを勧めるものではありません。
手術のこと
胸オペ(乳房切除術)
胸のふくらみを取って、平らな胸にする手術です。FTMの手術の中で受ける人がいちばん多いと言われています。
主な方法
- 乳輪のまわりを切る方法:傷あとが目立ちにくい。胸のふくらみが比較的小さい人向け
- 胸の下を横に切る方法:ふくらみが大きい人や、皮膚のたるみが多い人向け。傷あとは長くなるが、形を整えやすい
どちらが合うかは、胸の大きさや皮膚の状態で医師が判断します。
術後の生活
- しばらくは圧迫用のベストを着て過ごす
- 数週間は腕を大きく上げる動き、重いものを持つこと、激しい運動を控えるのが一般的
- デスクワークなら1〜2週間ほどで復帰する人が多いが、体を使う仕事はもう少し休みが必要なことも
- 傷あとは時間とともに薄くなっていく(傷あとケアの方法は医師に確認を)
病院選びで確認したいこと
- 手術件数や、術後のフォロー体制(遠方の場合の通院方法)
- 費用の総額(手術代のほかに、検査・入院・圧迫ベスト・術後の通院など)
- 保険が使えるかどうか(ホルモン療法をしていると事実上自費になる問題があります)
子宮・卵巣の摘出
以前は戸籍の性別を変えるために必要な手術でしたが、2023年10月の最高裁決定で、この要件は無効になりました。今は「戸籍のために」受けなければならない手術ではありません。
月経や婦人科の不調から解放されたい、婦人科の受診を減らしたい、などの理由で受ける人もいます。おなかに小さな穴をあけて行う腹腔鏡手術が多く、入院期間は比較的短めです。
将来、自分の子どもを持つ可能性を残したい場合は、手術の前に医師と相談しておきましょう。
陰茎形成などの手術
体の他の部分の組織を使って陰茎を形成する手術や、尿道を延長する手術などがあります。
- 何回かに分けて行うことが多く、期間も費用も大きな負担になる
- 国内で受けられる医療機関は限られている
- 合併症(尿道のトラブルなど)が起こることもあり、術後のケアが長く続く
受けない選択をする人も多く、どうするかは本当に人それぞれです。検討する場合は、メリットとリスクを医師からしっかり聞いて、時間をかけて考えてください。
補整アイテムのこと
パッカー(股間のふくらみをつくるアイテム)
下着の中に入れて、ズボンの上から見たときのシルエットを自然にするためのアイテムです。「鏡を見たときにほっとする」「服の見え方が落ち着く」という理由で使う人がいます。
選ぶときのポイント
- 素材:肌に直接ふれるので、肌トラブルが起きにくい素材か確認する。かゆみや赤みが出たら使うのをやめる
- 大きさ:大きすぎるとかえって目立つ。最初は小さめが無難
- 固定のしかた:ボクサーブリーフなど、ぴったりした下着の方がずれにくい。収納ポケット付きの下着もある
- お手入れ:こまめに洗って清潔に保つ
買うときの不安
- 通販では、品名や差出人の表記に配慮して発送してくれるお店もあります。注文前に確認を
- 家族と住んでいる場合は、受け取り方法(コンビニ受け取りなど)を選ぶと安心です
立って用を足すための道具(STP)
立ったまま用を足せるようにする器具で、パッカーと一体になったものもあります。
- 慣れるまで練習が必要。まずは自宅のお風呂などで試すのがおすすめ
- 外で使う前に、持ち運び方や洗い方を決めておく
- うまくいかない日は個室を使えばいい。無理をしないことが大事
健康のこと
性の健康(避妊・感染症予防)
- ホルモン治療は避妊にはなりません。子宮・卵巣がある場合、妊娠の可能性はゼロではありません
- 性感染症の予防には、性別に関係なくコンドームなどの使用が基本です
- 保健所では、匿名・無料でHIVなどの検査を受けられるところが多いです
相談しにくいことほど、ジェンダークリニックの主治医に聞いてみてください。こうした相談に慣れている医師は多いです。
「手術しない」と決めることについて
体への負担、お金、仕事、持病、怖さ……。手術をしない理由も、受ける理由と同じくらい人それぞれです。
「手術していないから男じゃない」という言葉を投げられることがあるかもしれません。でも、あなたが何者かは、手術の有無が決めるものではありません。迷っているなら、迷ったままでいい。決めるのは、決められるときで大丈夫です。